今日は久々にSSっぽいキャプションを作ってみました。
ろくに推敲していない+30分程度で書いた超絶駄文ですが・・宜しければどうぞ。
日ノ本零子は、絶句していた。
彼女と対戦するはずだった相手は今リングの外に転がっている。
突然の乱入者に後頭部を一撃され、意識を失っているのだ。
うつ伏せに倒れる彼女から表情を読み取ることはできないが、
床面を血で濡らしながらビクビクと痙攣する様子はさながら屍である。
突然の乱入者・・・今、リングの上で零子と対峙しているが、
零子を何より驚かせたのはそのような蛮行を働いた者がかつての自分の相棒だったと言う事だ。
デキシー・クレメッツ。
手にしたトンファーで零子の対戦相手を破壊した彼女の目からはかつてのような温かさは感じられない。
まるで猛禽のような冷徹な目を零子に向けている。
「デキシー!あなたが何故、こんな事を!」
悲痛を堪えて声を絞りあげる零子。
一週間ほど前、試合後の控室から忽然と姿を消したと言うデキシーが、
何故このような変わり果てた姿と成っているのか零子には理解が出来なかった。
「レイコ・ヒノモト・・・」
親友の声に微かに目の色を変えたかに見えたデキシー。
だが、彼女の返答の続きはトンファーの一撃に代えられた。
「きゃあっ!!」
頬にトンファーを叩きつけられた零子は、デキシーの尋常ならざるパワーにロープ際まで吹き飛ばされた。
ロープの反動で再びデキシーの懐へと戻された零子に待っていたのは、トンファーの嵐。
冷然と振り下ろされるトンファーが幾度も零子を打ち、彼女の白い肌を痣まみれにしていく。
「ああっ・・・うぅッ!!・・や、やめて、デキシー・・・・」
身体を襲う痛みより、親友に痛めつけられる精神的な痛みのほうが零子には堪えた。
ポロポロと零れる涙の理由は無論傷の痛みからだけではない。
遂に零子はマットに身体を横たえ、動かなくなってしまう。
傷だらけで涙を零す零子の姿を見下ろしたデキシー、もはや彼女に躊躇は無い。
マネキンのように意志の無い瞳で零子を見下ろしていると、
不意にポイとトンファーを投げ捨て、
零子の髪を引っ掴んで無理やりに彼女を立たせた。
「痛いっ!」
デキシーは立たせた零子の脇下に素早く腕を滑り込ませ、そのまま背中へと回してがっしと抱き寄せる。
そして一気に力を込め、零子の背中をまるで空き缶でも潰すかの様に折り曲げた。
「ぅ、ぎゃあああーーっ!!」
身体をくの字に折り曲げられるほどの強烈なベアハッグに、零子は断末魔のような絶叫を上げた。
デキシーは零子の悲鳴など意にも介さず、
背骨をへし折らんがごとくグイグイと絞っていく。
「ああああああ!!ぃぎゃああああっ!!」
零子は周囲を憚らず泣き叫んだ。
とても堪えられる痛みではない。脳裏には死さえ浮かんだ。
(デキシー・・どうして?・・わたしは、あなたに殺されてしまうの・・・?)
デキシーはそのまま零子を完全に破壊してしまうかに見えたが、
何を思ったか急に腕を放し、零子を生き地獄から解放した。
その時一瞬、何故か観客席のほうに目をやっていたようだが、痛みに悶絶する零子は気付かない。
デキシーはマットの上をのたうつ様に悶える零子の首根っこを掴んで半身を起し、
そのまま素早く右腕を零子の首に絡み付かせた。
「うっ・・・・!?」
スリーパーホールド。
デキシーのパワーで締めあげられれば零子には一溜まりもない。
まして、今のデキシーは得体の知れぬ敵意に支配されており、最悪絞め殺される可能性もあり得る。
零子は死の恐怖にとらわれ、必死にロープへと手を伸ばそうとする。
それはレスラーとしての習性であろう。ロープブレイクを取るべきレフリーも既にデキシーに排除されていると言うのに・・
空しく腕を宙に伸ばす零子の目は、苦痛と恐怖が入り混じり虚ろに揺れている。
涙は止めどもなく流れ、ひやりとした滴が幾つも頬を伝い落ちていく。
(嫌だ。死にたくない、死にたくない、死にたく・・・・)
そこで、零子の意識は途絶えた。
虚ろな瞳はゆっくりと閉じられ、そのまま開くことは無かった。
零子を絞め殺すかに見えたデキシー。
しかし実際は、零子の頸動脈を素早く圧迫して気絶させたに過ぎなかった。
ぐったりとデキシーの腕の中で眠り落ちた零子は知るよしもないが。
「上出来ね。コントロールは完璧と言えなかったけど、まあ望み通りの結果だわ」
ざわめく観客に紛れて一人呟くのは、死のナース・アナスタシア。
デキシーは彼女によって洗脳され、零子を捕らえる駒と変えられていたのだ。
「フッ、随分気持ちよさそうな顔をしているものね。まあ、寝ているのだから当然と言えば当然だけど・・」
苦痛と恐怖から解放され、恍惚とした健やかな寝顔を晒す零子の様子を見詰めながらアナスタシアは満足げに呟く。
全てはシナリオ通り。
後は眠りに就いた哀れな生贄を、暗い監獄へと護送するのみ。
その役を担うのは無論、デキシー・・いや、地獄の警官、クレメッツ警部だ。
デキシーはすー、すーと可愛らしい寝息を立てる零子を乱暴に抱きよせながら、そっと呟く。
「Good Night, Reiko Hinomoto.」
ホントは差分だけ投稿する予定だったんだけどなあ・・
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- 2014/09/10(水) 02:01:11|
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こうすれば実に健全な絵ですよねえ。

不透明度いじるだけで簡単に変えられます。
全身を入れるとなると奇麗なボディラインを描くのがキモ。
ソフィーティアみたくプロポーションの整ったキャラクターは格好のモチーフですね。
まだまだではありますが・・
ただ、アスタロスは描くのめんどかった。
- 2014/09/01(月) 01:14:21|
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